国際指名コンペ　入選

自然と人工の共立
世界遺産は大別して自然遺産、文化遺産、複合遺産の三種類ある。当研究所は中国における世界遺産（候補も含む）の紹介、研究、研修を目的として計画されたもので、こうした遺産を保護し、次世代へ引き継ぐための諸方法、活動の研究を目的としたものである。
計画地はまさに蘇州の水に恵まれた豊かな自然環境の中にある。自然と人工物（建築）のあり方が問われている。それはまさに世界遺産の保護のあり方を示すものともいえる。
優れた文化活動の場には、その価値をより高める環境として豊かな自然がある。一方保護すべき自然環境の中には、人工の手を入れる行為を伴う文化活動の場はない。自然と文化は共生ではなく、それぞれの価値に見合った棲み分け、互いに干渉されない、共立した関係にあるべきである。互いに干渉されない環境域を明確に線引きし、互いの価値を再確認できる環境をつくり出す必要がる。こうして自然領域を人工の文化領域で切り取り、その境界を明確にするという今回の手法が提案された。