■ 自然の中で学ぶ
…“森”の学校の基本的な考え方
現代において、自然の中で学ぶということには大きな意味がある。それは人間の活動が活発になった結果、身近の自然がなくなりつつあるだけでなく、地球規模での環境問題が深刻さを増し、自然の大事さ,自然の尊さ、自然とうまく共存するためにはどうしたらいいか、など自然とのつきあい方を十分理解することが求められているからである。
こうした自然とのつきあい方は、知識からだけではなく、体験を通じた感覚として学び取ることが重要であり、子供達の教育環境として小学校を“森”の学校としてとらえる発想も、こうした視点に立っている。
■ “森”の学校の構成…自然からのメッセージ
森の樹木に囲まれているときの爽快感、心の落ち着き、自由な感覚、神秘な感情。
“自然の中で学ぶ”学校は、このような自然の森を訪れた時にもつ感覚を重視し、それによって学校全体を覆うことにした。
そのためまず、“森”の中を構成している様々 な空間のあり方、たとえば雑木林や針葉樹の森、高木の枝葉が空を覆い、木漏れ日が差し込んでくる森、草原や岩原.森の上にたなびく雲、遠くに見える山並等々 を選び出した。そしてこれらの空間を構成している自然の様々な要素を敷地全体に再配置した。
もちろん、これらの要素は自然と人間の合作物であり、自然そのものではない。しかしそれらはテクスチュアやイメージなど、なんらかの形で自然からのメッセージを組み込んだものばかりである。
このように自然からのメッセージで学校全体を覆うことにより,子供たちにより感覚的に自然と親しみ、理解する環境を用意することができると考える。 |