海中世界の体現
大地と海と空、この三つの環境域の中で、大地に棲む人類はその誕生以来常に海と空に対して、畏怖と羨望の念をもって接していた。特に海は生命の源といわれるほど人間と根源的な繋がりを持ちながら、なおかつ日常的には近づき難いものであった。そのために海の中を再現する水族館は、人々の飽くなき願望を引き付けて止まない。特に最近では、ガラストンネルによる海中世界のプレヴューが大流行している。
海中世界の魅力はそれだけではない。海中の岩々がつくり出す様々な岩影や、海草の森などが海中に棲む生き物大多数の生息域であり、それは地上の岩山や森などとの類似点から人々にとっても興味深い空間となる。それを内部の展示空間として再現した。
また水の表面張力をイメージした巨大な水盤の上を、水棲動物の代表である魚類の流線的な形をイメージした建物が、家族のように寄り添って泳ぐ姿に似せて配置した外観も、海の世界の魅力の一端をかたちにしたものである。