省エネ・ローコストを追求したレジデンシャル・オフィス
省エネに考慮した配置計画
建物の南面は太陽からの受熱量が大きく、開口部を大きくとることは空調負荷を増やす原因になる。そこで省エネ効果を考え、南面の開口部は、換気・通風を主とした最低限の大きさに抑え、長方形の建物を南側境界ぎりぎりに配置する計画とした。
その結果、北側に広く中庭が残り、この中庭に面した北面に大きく開口をとることが可能となった。
北側境界のコンクリートの壁が建物内部を自然光で満たす
北側境界に設けたコンクリートの壁は、太陽光を反射し、建物北側に開けられた大きな開口部を通して十分な明るさを建物内部に導きいれることができ、室内照明の低減による省エネ効果をもたらしている。
北側からの採光は、また直射日光のぎらつきのないオフィス空間に最適な均質な明るさを室内にもたらす。
このコンクリートの壁はまた、隣地の視線をさえぎり、プライバシーを確保しつつ、建物に大きな開口部を設けることを可能にしている。
ローコスト
北面に開けた大きな開口をサッシレスとするディテールの工夫や、規格品の積極的活用、内外ともコンクリート打放しを中心とした仕上げ材の選定などにより、ローコストを実現した。
シンプルな内部空間の構成
住居部分などの主要な内部空間に、壁・天井に柱・梁等の出っ張りのないフル・フラットでシンプルな構造体を用意し、そこに収納・間仕切等をはめ込む構成とした。
これにより、必要最小限の造作工事ですみ、コストの削減につながるとともに、将来的な間仕切レイアウトの変更に柔軟に対応できる。
こうしたフル・フラットな構造体を作るため、柱・梁が壁と同じ厚さとなる薄肉ラーメン構造を採用した。
この構造は余分な出っ張りがないため、型枠が少なく、ローコストが可能となる。
奥行きの深いアプローチ空間
北側に広がる中庭を、アプローチ通路としても利用している。
北側が台形に広がっている敷地形状により、スカラレジア風に奥が狭まるアプローチ空間は、来訪者に奥行きが深く、より広い空間を印象づける効果がある。
また中庭に面して開けられたサッシレスの大きな開口は、透明ガラスで仕切られ、視覚的に内外の一体化を生み出し、内部空間によりいっそうの広がりを与えている。