人々が活発に行き来し、そして自由に
集まることのできる空間を提案する

長岡市の「まちなか」に人を集めること、その起爆剤となること。それが今回のプロジェクトの最大の目的であるとわれわれは考えます。それを実現するにあたって、各種イベントや通り抜けのできる「大通り」と導入施設の「立体的対面配置」によって、人々が活発に行き来し、そして自由に集まることのできる空間を提案します。

通り抜けできる「大通り」とそれに
対面する施設配置

まちなかには、通り抜けできる大通り、そこから枝状に延びる小道があり、様々なショップやレストラン、公共施設がそれらの通りに面して並んでいる。人々が回遊し、散策する地域(ゾーン)であるまちなかの一部として当該地を計画する。

市民が自由に通り抜けできる
「大通り」をつくる

屋根付き広場、市民ロビー、アリーナ前広場を直線状に配置し、通り抜けのできる「大通り」をつくる。

「大通り」に対面するように様々な
種類の公共サービス、
公共空間の施設を配置する。

まちなかの魅力は様々な店が通りと対面していること。対面しているので人々は歩きながら店の内容を知ることができ、個々の目的に応じて自由にそれぞれの店を訪ねることができる。今回の計画でも「大通り」に対面して様々な施設を配置することで、人々は目的に応じ、「大通り」から自由にそれぞれの施設にアプローチすることができる。 

「道」ではなく様々な人々が集まる
広場の連続として「大通り」を計画

単なる通過動線を処理する「道」ではなく、各種イベントや集まりなどが随所で可能な広場状の空間が連続したものとして「大通り」を計画する。また自然発生的に様々な店が集まっただけのまちなかでは、それらの相互効果がなかなか望めない。そこで今回の計画では、各施設を「大通り」を含めて、相互補完、相互効果が可能なように計画的に配置する。

三位一体であらたな機能をつくり出す
「立体的対面配置」

公会堂、市役所、広場を平面的だけではなく、立体的に対面させることで、それぞれの施設が他の施設の機能を補完し、また拡張し合うことができ、単独の施設計画では生じ得ない相乗効果をつくり出すとともに、あらたな拡張機能を生み出すことができる。

屋根付き広場をはさんでひな壇状の
市役所と公会堂を立体的に対面配置

市役所の市民サービスを中心とした低層棟を3層のひな壇状とし、公会堂の文化ゾーンと屋根付き広場(大通り)をはさんで立体的に対面配置する。

ひな壇状の市役所低層棟の各フロアーや公会堂のホワイエなどをつうじて
行政や文化活動と視覚的な一体感、
連携をつくりだす。

屋根付き広場(大通り)からひな壇上の市役所フロアーを一望でき、行政への親近感、一体感、安心感を高めることができる。またホワイエなどを通じて公会堂の文化活動の諸室を一望でき、それらの活動の認知、期待、参加欲などを高める事ができる。

三位一体で生まれる相互補完や
拡張機能

屋根付き広場(大通り)で祭りやイベントがおこなわれた時、公会堂の諸室が準備室として広場の機能を補完したり、ひな壇状やホワイエなどがその観客席となり、一体的な利用を図ることができる。また公会堂での展示会の延長として広場や市役所の待合をギャラリーとして利用したり、市役所の広報活動を広場や公会堂のホワイエで展開するなど、それぞれの施設の枠を超えた活動を展開することができる。

全施設のかなめ…
「大通り」の中継点としての
市民ロビー

屋根付き広場に続いて配置される市民ロビーは「大通り」の一部であり、アリーナ前広場につながる中継点であると同時に、各施設やイベントの情報を中継し、増幅し、市民へ発信していく場所として、導入する全施設を利用する上でのかなめとして位置づける。また各施設の相互補完、拡張機能を与える場所としても活用する。

多目的な広場のひとつとしてアリーナを計画
常時土足で利用できるアリーナは、「大通り」の一部であるアリーナ前広場からいつでも気楽に立ち寄れる屋内の多目的広場である。ステージや客席は可動式で、樹脂タイル床の敷設によって公式競技も可能となる。大型車両も直接進入可能で、様々なイベントにも対応できる。

やすらぎのある外観で安心感のある
都市景観をつくる

固有の敷地形状と、周辺の都市環境、都市景観等を考慮し、緑の草原(白い雪原)となる屋上庭園を持つ低層棟と、ナチュラルな素材の外観を持つ高層棟で全体を構成し、やすらぎがあり、安心感のある都市景観をつくる。

市民活動に密着する施設の部分を
低層棟とし、その上に緑豊かな
屋上広場を作る

市役所の市民サービスエリア、市民ロビー、公会堂など市民活動に密着する施設の大部分を、アリーナの高さを基準とした低層棟(3層)とし、計画地周辺の既存建物から突出しない高さに抑える計画とする。またその屋上を緑の草原となるような屋上広場とし、ヒートアイランドや周辺建物への照り返し防止、修景となるよう計画する。

日照やプライバシーを考慮した高層棟の配置と外装
議会や市役所のその他の諸室を高層棟に集約し、日照やプライバシー、周囲への圧迫感等を考慮した配置とした。また高層棟の外装には無双状に木製パネルを前後交互に配置したルーバーを設けて、周辺建物のプライバシーに配慮するとともに、建物内部の省エネ効果や目隠しによる閉塞感を解消するなど内部環境にも配慮した。

議会の活動を広範囲に見せる
透明ガラスに覆われた議場

高層棟に配置される議場は、ナチュラルな木製ルーバーで覆われた外装の中に透明ガラスの開口部を設け、議会の活動状況がまちなかのいたるところから一望できるようにする。やすらぎのある景観の中に市民の代表者たちの積極的な活動を示す明かりがともる状況は、広く市民に安心感と、政治に対する信頼、親しみを与えるものとなる。

コリドー=市民回廊の提案
「大通り」と各施設の間にコリドー=市民回廊を設ける。

各施設の共用スペースを集約した
立体回廊

コリドーは2~3層からなる屋内の立体回廊で、各施設の共用スペース(廊下、階段等)を集約した、市民が自由に利用できる空間である。

緩衝帯、連結材、市民動線としての
コリドー

コリドーは「大通り」と各施設を物理的、視覚的に連結するとともに、各施設が独立して利用される場合の緩衝帯の役割も持つ。また「大通り」でイベント等が開催されるときは、コリドーは「大通り」に代わる通り抜け動線になる。