変換点におけるルネッサンスデザイン
今、日本の社会は大きな変換点を迎えつつある。そのひとつは高度成長期以後の日本の社会を支えてきた団塊の世代が、その社会的責務を終え、長年勤めた会社を退職し、次に自分や家族を中心とした生活リズムを再構築しようとしていること。もうひとつは、その団塊の世代のジュニアにあたる30代前半の人々、すなわち日本独自の画一的な社会的評価よりも、もっとグローバルな視点でものを捉えられる世代の人々が活躍の場を求め始めているということである。このような変換点を迎えるに当たり、思い浮かべるのがイタリアから発祥したルネッサンスという運動である。ルネッサンスとは権威主義的で象徴的なゴシックから離脱しようとして、そのために抑圧された、人間性や芸術性の大切さを追及しようとした運動である。大きく価値観が変わる人生の節目において、その変格はルネッサンスの考え方に共通するものが感じられる。今までの旧態とした生活から離れ、新しく自分らしさを求めていく環境を人々に提供していく事が本計画の目標であり、その手法は、人間性の再確認や芸術性の復活であり、また、それらを包括する自然の美しさや包容力と言った人間性を育成するのに必要な環境を整備することである。